1. 研究の背景
私たちは、TEDの取り組みの一環で、学科横断での研究に取り組みました。
研究について、建築科と話し合う中で、次のような問題が挙がりました。
少子高齢化に伴い、ユニバーサルデザインに配慮した建築物の需要が高まっている。しかし、建てる前建築物を、住む人本人の目線で見ることはできない。そのため、実際に建築物を建ててから、不便な設計に気づくことがある。改築には膨大な費用がかかるため、これを未然に防げないか。
私たちは、この問題を情報技術の力を使い解決できないかと考えました。
2. 仮設とねらい
そこで我々が活用しようと考えたのが、VRです。
VRで建築物の3Dモデルを見ることができば、設計段階の建物を、住む人の目線で見ることができます。
これにより、先述の問題を未然に防げるのではないかと考えました。
3. 研究内容
ねらい通り、建築物を一人称目線で見ることに成功しました。
さらに、VRの「自分以外の人の目線に立てる」という特性を生かせないかと考え、次のような研究を行いました。
上の画像は、通常の視野と狭い視野をVRゴーグルで再現したものです。
これを建築物を設計する人が使うことで、病気などで視野が狭い方の家の設計の際に、危険な段差などのより細やかな問題た気づくことができるようになります。
4. 技術的知識
Unityとは
Unityは、世界で広く使われているゲームエンジンです。Unityの3D空間内では、物理エンジンを使うことができ、重力や摩擦などの物理現象を容易に再現することができます。
実際の世界の重力、摩擦などを、コンピューター上で1から再現するのは困難です。そこで、Unityを利用しました。
VRとは
ご存知かもしれませんが、VRとはVirtual Reality(バーチャル・リアリティ)の略称で、
現物・実物ではないが、機能としての本質は同じであるような環境を、
五感を含む感覚を刺激することにより作り出す技術のことです。
今回の研究では、メタ・プラットフォームズ子会社の
フェイスブック・テクノロジーズ(Facebook Technologies, LLC)が開発する
Meta Quest(旧Oculus Quest)を使用しました。
5. これからの取組
Unityの物理エンジンをより有効活用したいと考え、物と物が接触した時に起こる現象(転倒、落下など)の再現に取り組もうと考えています。
現在は床との摩擦を考慮した転倒の再現などを行っています。
6. まとめ
この研究を生かし、人と物が接触した時の再現をすることができ、落下物などのより様々な危険に気づくことができるようになります。
これにより、さらにユニバーサルデザインに配慮した建築物の設計に役立てられるシミュレーションになると考えています。