Ⅰ.研究の背景
浜工には現在8つの科があり、各科ごとに様々な特色がある。しかし、私たちが普段どのような学習をしているのかを校外の人に発信する機会が中々ない。そんな中一番大きなイベントとして浜工祭がある。浜工祭では各科が自分たちの学習の成果を様々な形で発揮しているため、各科の特色が現れ、地域の方だけでなく在校生も楽しむことができる。しかし一方でブースによってはあまり人気がなかったり、逆に人が多すぎたりと来客の偏りが発生してしまう。すると来客の循環にも影響が出てしまい、浜工の魅力を十分に発信できていないのではないかと考えた。
そこで、混雑度を誰でもわかるような形で可視化することで、来客の偏りを改善し、効率の良い観覧に繋げることができるのではないかと考えた。
Ⅱ.仮説とねらい
今回このプロジェクトを立ち上げるに当たって大きく以下の二つのねらいを立てた。
今回学習上の効果として挙げているように、”科を超えた交流” すなわち “クロスカリキュラム”を考えている。以後の文章内で C や Mなどと記載してあるものはクロスカリキュラムの交流先の科を表す。
Ⅲ.研究内容
使用するもの
- Raspberry Pi
- サーマルカメラ
- LCDディスプレイ
- Windowsサーバー(電気科)
- ネットワーク(校内LAN)
上図のように各機器を接続する。
Ⅳ.技術的知識
下図のような処理を行い混雑度を検出する。
▷サーモカメラからRaspberry Piに信号を入力し、RaspberryPi内でその映像を15〜30FPSで映像化・ガンマ補正で発色を鮮やかにする。
▷ そのデータを各フレームごとに画素を数個まとめたグループごとでRGB数値化しその平均値を算出する。
▷ 次にデータをサーバーへ送信する。サーバー内でそのデータを元に条件によって色付け・待ち時間を算出しHTMLでWebサイトを作成する。
▷ 作成したWebサイトを各ブースのRaspberry Piのブラウザに表示する(これがUIになる)
Ⅴ.これからの取り組み
これからの改善点として大きく二つの課題がある。
1つは“認識精度の向上”
こちらはサーモカメラの特性上、人間以外の熱を持っているものと人間の区別がしずらいことがある。そこで、Webカメラなどを併用し、“見た目”と“熱”という2つの要素からより正確な人間の検知を目指す。
2つ目は“使いやすさの向上”
このシステムでは混雑状況の表示を据え置きのLCDで行なっているが、この表示をWebページとして公開し、誰でもどこからでもアクセスして混雑状況を閲覧することができるようにし、さらなる利便性の向上を目指す。
また、空いている場所や従来は放送で行っていた各ブースからのお知らせもそのページに表示することで、文字として来客の方に伝わり、効率的な集客を目指す。
Ⅵ.まとめ
今回考案したこのシステムは、浜工祭だけではなく様々な分野で活用できるのではないかと考えている。
例えば。屋外でのフェスやイベントでは、Webカメラを主として使い、ブースごとの混雑度を大まかに表示することができる。
また、Webサイトやアプリ上で公開することで、ユーザビリティーも高くなるであろう。
RaspberryPiは小型かつ、形を変えやすいため、運用がしやすい、また設備費用があまりかからないといったメリットがある。
一方でネットワーク環境が必要なため、通信設備の用意が必要となるデメリットもある。
公共交通機関では、Google Mapなどで既に行われている混雑度の表示をさらに正確なものにするのに役立つのではないかと思う。
この際、サーモグラフィを使うことで、カメラを使わなくて済むのでプライバシーの保護につながるのではないかと考えた。
しかし一方で、先ほどと同様に通信設備が必要な点と細長い車内全ての範囲で検出するには複数台のセンサーの設置が必要になる点がデメリットとして挙げられる。
スタジアムやドームでは退場時や非常時などに大勢の人が一斉に退場する時にどの出口が一番空いているかを表示することで混雑を回避することができるのではないかと思う。
こちらはビジョンに混雑度を図などで表示すれば良いため、通信環境は入りませんが、一方で非常時などは電源の確保が困難なのではないかという問題もある。
しかし、このシステムをうまく活用すれば様々な状況において人の流れを可視化することができ、状況に応じての最適な方法で混雑度を提示し、より豊かな社会に貢献できるのではないかと考えている。
コメントを残す