①研究の背景
私たちはSDGs11番つくる責任つかう責任の観点からゴミを減らすという問題に着目しました。再利用がゴミを減らすことに繋がると考え、インターネットで調べたところ、廃棄果実からエタノールを作ることが出来るということがわかりました。さらに調べると果物は皮の部分の廃棄率が高いということがわかり、有効活用がしたいと考えました。そのことから身の部分からエタノールが作ることができるのなら身の部分でもできるかもしれないと思ったのが実験の背景です。
②仮説とねらい
バナナは約4割が皮で、果物の中でも廃棄率が高い果物です。日本全体の年間のバナナの消費量は8605tで、このうちの4割が皮だとすると約344tが捨てられていることになります。バナナの皮からエタノールを作ることが出来ればゴミの有効活用が実現出来ると考えました。また、果物はほとんどが皮を捨てられています。その中でもみかんやオレンジは代表的な果物で、さらにみかんを使ったバイオエタノールの製造についての記事を見たことがあったのでみかん、オレンジでも同様の実験を行いました。
③研究内容
- 果物の皮の糖度を上げるために煮てからミキサーでつぶす。
- 500mlビーカーに詰めイースト菌と麹を混ぜ38℃で1週間発酵させる。
- 発酵が終わったらガーゼで絞り、発酵汁を取り出す。
- エタノールを取り出すため発酵汁を蒸留してエタノールを取り出す。
- このエタノールをガスクロマトグラフィーで分析する。
アルコール発酵とガスクロマトグラフィーについて説明します。
果物の皮からエタノールが得られる反応のことをアルコール発酵と言います。
C6H12O6 → 2CH3CH2OH + 2CO2
アルコール発酵はこのような化学反応式で表すことができます。アルコール発酵とは、原料に含まれる糖分を酵母によって分解し、アルコールと炭酸ガスを発生させることを言います。酵母とは繁殖力と発酵力が強い微生物のことです。
ガスクロマトグラフィーとは、気化しやすい化合物に何が含まれているかを調べるための装置です。今回は蒸留で得られたエタノールのアルコール濃度を調べるために使用しました。
④ 実験結果
今回の実験で得られたエタノールの量と濃度は、
バナナ(9本分)・・・18.5ml 32%
バレンシアオレンジ(8個分)・・35ml 2%
みかん(10個分)・・・17ml 23%
⑤考察
バレンシアオレンジのアルコール濃度が2%と低くなってしまった原因は、夏休みの関係で蒸留から分析まで3ヶ月空いてしまい、アルコールが揮発してしまったからだと考えられます。
また、みかんのアルコール濃度がバナナより低くなってしまったのは、みかんに含まれるアセトアルデヒドがエタノールのアルコール成分を分解してしまったことが原因だと考えられます。
⑥まとめ
果物の皮からエタノールを製造することが出来たことから、果物の皮を有効活用するという目的を達成させることができ、SDGsに貢献できる活動をすることができました。しかし、エタノールを消毒用アルコールや燃料として再利用できるようにするにはもっとアルコール濃度を上げる必要があったり、今の量ではエタノールが少なかったりと問題が多く残ってしまいました。
ガスクロマトグラフィーや糖度計といった科学的な機械を用いて課題研究を進めたことは、難しく大変なこともありましたが、科学的な知識を身につけられました。また環境問題の特にゴミ問題についてもう一度自分自身を見直す機会となりました。